易経に『陰陽消長』と言うのがある。八卦から作られた、六十四卦より一年間の十二か月にあてはめた十二卦。それぞれの卦の物語を読みながら、一年間,「春夏秋冬」の移り変わりを感じる。作物を育てるには、冬の時代に田畑を耕し、十分に土壌を肥やす。春に種を蒔き、水や養分を与る。夏には、どんどんと成長していく、そして同じく雑草なども生えてくるのを除去し、虫が着くのをはらう。秋には、実りがあり、収穫をする。
それらの周期を十二卦で表現したものが、この陰陽消長。 陰の部分か減り、陽が増えていくところから、頂点の「乾為天」までそして、陽が減り、陰が増えて、「坤為地」まで。物語があるのです。
新暦十二月~一月の時期
地雷復
新暦一月~二月
地澤臨
新暦二月~三月
地天泰
新暦三月~四月
雷天大壯
新暦四月~五月
澤天夬
新暦五月~六月
乾為天
新暦六月~七月
天風姤
新暦七月~八月
天山遯
新暦八月~九月
天地否
新暦九月~十月
風地観
新暦十月~十一月
山地剥
新暦十一月~十二月
坤為地
陽の最大になっている
『乾為天』の物語、
卦辞(かじ)を紐解くと
乾、元亨利貞。(けんは、げん こう り てい。)
乾は元(おお)いに亨(とお)りて貞(ただし)きに利(よろ)し。
天地宇宙の生成発展は、萬物を照らし続ける太陽の営みのように健やかである(天行は健なり)。
君子を目指す者は、萬物を照らし続ける太陽の営みを見習って、自らを強く健やかに養い続けて、一日たりとも休まないのである。(君子もって自彊して息(や)まず)。
さらに、深く読むと、
元は善の長也。亨は嘉(か)の會也。
利は義の和也。貞は事(こと)の幹(かん)也。
君子は仁を體(たい)すればもって人に長たるに
足り、會を嘉すればもって禮に合するに足り、
物を利すればもって義を和するに足り、貞固なれば
もって事に幹たるに足る。君子は此の四徳を
行う者なり。故に曰く、乾は元亨利貞と。
上記を口語訳すると、
乾の卦徳の一つである「元」は、萬物の善き始まり
である(元は善の長也)、「亨」は、萬物が喜び出逢
い成長することである(亨は嘉の會也)「利(益)」は
義(大義、正義)の根幹である(利は義の和也)
「貞(義)」は事(あらゆる物事)の根幹である
(貞は事の幹也)人の上に立つ指導者(君子)は、
己を虚しくして萬物を照らし続ける太陽のように、
遍く施す仁を体得するからこそ、大衆から尊崇され
るのである(君子は仁を體すればもって人に長たる
に足り)。あらゆる物が成長して、全体が調和するからこそ、人間社会のルールが成立するのである(會を嘉すれば以て禮(らい)に合するに足り)。全体が調和して、あらゆる物を利するからこそ、義(大義、正義)を積み上げることができるのである(物を利すればもって義を和するに足り)。常に義(大義、正義)を貫くからこそ、事(あらゆる物事)の根幹たる存在になり得るのである(貞固なればもって事に幹たるに足る)。
人の上に立つ指導者(君子)は、以上の四徳(仁、礼、義、智)を体現した人物である。
それゆえ、乾の卦徳は、元亨利貞というのである。
四徳を体得できるように、日々努力するほかに、道はないのだと思いました。
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